NETFLIXで公開されている、ダウンタイムを鑑賞した。
全8話を見た。
あらすじはここでは述べないので、気になる方は調べてみてほしい。
タイトルの通り、「整形」についての作品とだけ認識していれば全く問題ない。
肝心の感想だが、
フェアプレー賞受賞(独断)である。
1、フェアプレー賞贈呈理由
美容整形がテーマとなっているダウンタイムは、整形についての是非、医者としての「美容外科医」、施術対象の患者の特性など、「整形」がもたらす功罪についてを述べている。
見始める前の私はてっきり、美容外科医が過ごす世界と、患者の病的な心情にフォーカスした作品であると思っていた。
NETFLIXがわざわざ作成するぐらいだから、地面師的なダークな作品に仕上げるのだろうと。
『美容外科医が過ごす世界と、患者の病的な心情にフォーカス』はしているのだが、その様子は8話中最初の2話ぐらいで語りつくされている。
この作品、巷で賛否が分かれる美容整形というタイムリーな話題であるにも関わらず、
地面師のようなパンチ力はない。
むしろ、めちゃくちゃ優しい作品だと感じた。
というのも、この作品は「全員に平等に寄り添う」を徹底している。
美容外科医を悪に仕立て上げるでもなく、患者を必要以上に醜悪に写すでもなく、かといって美容外科医以外の医者を崇めているわけでもない。
それぞれの立場と感情を丁寧に見せながら時間を進めることで、誰しもの意見も「まぁわかる」ぐらいの感情移入度合いで見ることができる。
この作品は、松岡茉優、仲里依紗演じる主人公が弱い。終始ふらふらしている。
ジャンプ主人公的な、「どんな悲劇も力にかえてやるのさ!」の対極にいる。
しかし、「誰も見捨てない」をテーマにしている以上、主人公が精神的に強すぎたり、悪いやつすぎると話が成り立たない。
言ってしまえば中途半端な性格をしているのだが、だからこそリアルなのだろうと感じる。
華やかなテーマを扱いつつ、誰も雑に扱わずに寄り添い続ける世界観は、まさしくフェアプレー賞を受賞するに値する。
2.他Netflix作品との比較
先にも述べたが、美容外科医の華やかさとその裏側。患者の病的な精神観は2話目までがピーク。
残りの6話分は、弱・半沢直樹が展開される。
主人公の出自や父との確執、政治的な駆け引きに患者との関りなど、美容業界という舞台を緻密に扱うというより、美容業界をテーマにしたヒューマンドラマを丁寧に描いているという印象を受ける。
正直、「この内容を、美容業界を舞台にして、なおかつNETFLIXで放送する強い意味はあるのか」と思ってしまった。
華やかで過激と思われがちな作品を扱うには、あまりに穏当ではないかと感じるのだ。
NETFLIXで話題になる地面師やイカゲームは、日常では起こりえない(味わうことは一生でないだろう)ことを題材とし、あえて「寄り添わない」人たちを描くことで物語に緩急をつけ、その世界を莫大な予算で作り上げることで人気を得てきた。
美容業界という賛否分かれる世界だからこそ、もう少し攻めた構成にしてほしかった。
作中で、美容業界・整形についての是非を言い争うシーンはあるのだが、結局「それぞれ立場がありますから」という帰着になっている。
また、6話目ぐらいまでは真っ当に整形をテーマにしているのだが、残り2話はヒューマンドラマすぎる。
6話構成にして足早に駆け抜けた方がよかったのではと強く思う。
たった5分間の死闘を6か月間かけて放送したドラゴンボールのナメック星編を彷彿とさせる時間の使い方だった。
3.誰かに寄り添わない、という選択肢
ここで言うフェアプレー賞とは、サッカーなどで「ファウル数や累積カード数が少なかったチーム、個人に贈られる賞」を指している。
この賞自体は立派なのだが、正直言ってこの賞、そこまでの価値があるのかと言われると微妙な所だ。
というのも、この手の賞は優勝チームに送られることは少ない。
言わば、正々堂々戦って負けた「グッドルーザー」が受賞することが多い。
優勝チームにフェアプレー賞が贈られることももちろんある。
しかし、競技でより良い順位を得て正当に評価されることの称賛と、誰も傷つけないように穏当に振舞うことによって得られる称賛は、全くもって価値の基準が異なる。
私は、ダウンタイムが駄作だとは全く思わない。
しかし、惜しい作品であるとは思っている。
尖れば必ずいい作品になるという訳ではない。
しかし、時には残酷に人物同士の正義感を戦わせ、それによってコントラストを作るという決断も、良作から名作へと変貌するためには必要なのかもしれない。
以上!!
